食品工場における冷房設備と粉塵・熱問題

2022.08.16

空気を循環させる冷房設備にとって食品を扱う際に発生する細かな粉塵の存在は、常に向き合っていかなければならない課題の一つです。

 

お察しの通り、細かな粉塵はエアコン内部に詰まってしまい、エアコンの機能を低下させてしまいます。
衛生管理の国際基準HACCPが義務化された今でこそ工場でほとんど見なくなりましたが、天井に埋め込むタイプの業務用エアコン、天井カセット型(通称:天カセ)と粉塵の相性は最悪といってよいでしょう。

 

天カセエアコン

天井に直結している天カセ型は虫の温床となりがちです。先日、点検を依頼された現場では外した瞬間、ゴキブリが15匹ほど飛び出してきて、流石の私もびっくりしてしまいました。また他の業務用エアコンと比べると詰まりやすい構造になっているため、粉塵が舞うような場所では機能も低下しがちで、上記の点も含めて、食品を扱う営業所ではオススメしておりません。

 

とはいえ天カセ型は安価なので、取り付けの要望は多いです。
その際は少なくとも2カ月に一度の点検をすることをオススメします。普段、私たちの目に見えてない内部は私たちが想像している以上に汚いです。定期的にバラして清掃を行い、清潔な状態を保つ必要があります。

 

不衛生なのは心配という方には一回り値は張りますが、天吊りタイプのエアコンもおすすめです。こちらも粉塵と付き合う以上、定期的な点検は必要ですが、その名の如く天井から吊って設置するエアコンになるので、天井に通じない分、衛生的で粉塵にも強いです。

 

また少し話は変わりますが、粉塵問題に加えて、食品工場の熱問題を解決したいという方にはスポット型のエアコンをオススメしています。

 

食品を加工する食品工場では様々な機械が作動しており、それらは当然、熱を発し続けています。例えば乾燥機は80℃近くも放熱していることもあり、その部屋は冷却しなければ40℃近くになることもあります。

 

これでは従業員が作業できないため、冷房設備が導入されるのですが、ただ冷房設備を導入するだけではこの問題を解決できないことも多いです。というのも機械は与えられた役割を果たすために、その温度を発しながら稼働しているわけで、冷房機器により冷やされると機能が低下してしまう、もしくは頑張って元の温度に戻ろうとするからです。

 

周囲は冷やそうとするけど、機械は温度を上げようとする…。つまり「いたちごっこ」の構造が生まれてしまう可能性がよくあります。この課題を解決するためには従業員をピンポイントで冷やすのが正解です。

 

この答えとなるのがスポット型のエアコンです。スポット型エアコンとは扇風機のように特定の場所に冷たい空気を発生させるエアコンのこと。これを従業員に向けてあげることで極力、機械を冷やすことなく、従業員のみ冷やすことができます。

 

また、このスポット型エアコンは先ほどの粉塵問題の解決案ともなり得ます。少々、工事が必要となりますが、エアコンを粉塵の発生が少ない別の部屋に設置し、そこから冷却したい地点へダクトを這わせることでエアコンの粉塵問題をクリアしながら特定カ所を冷却することが可能です。

 

近年は送風機能の付いた作業服など便利なアイテムが増えてきましたが、いずれにせよ働き手の少ない今だからこそ、従業員を大切にする環境が必要かと思います。エアコンなどの冷房機器のその環境作りの一助となるものです。もし、業務環境改善を検討されているようでしたら、一度ご気軽にご相談いただければと思います。