2021.06.07
2021年4月。
私たち有限会社ディンプルからホアンくんが故郷のベトナムへ巣立っていきました。
3年という短い期間ではありましたが、私たちの現場を支えてくれたホアンくん。
やはり巣立っていくことには一抹の寂しさが残ります。
3年という任期を定められたホアンくんは所謂「外国人技能実習生」。
私たち有限会社ディンプルが初めて迎えた実習生でした。
外国人技能実習生…。
ニュースなどで耳にする方は、あまり良い印象を持たれていないかもしれません。
一部報道は事実かもしれませんが、実際に制度に触れた私は少なくとも互いに誠意をもって活用できればwin-winな制度であると感じました。
今回はそんな外国人実習生の建設業界における立ち位置、そして経営的観点からみた外国人実習生について感じたことを書いてきたいと思います。
そもそも外国人実習生とは「技能実習」や「研修」という在留資格で外国人を日本に招き入れ、報酬を支払いながら、実際の労働などを通じて技能習得を行ってもらうという仕組みです。
この制度の目的は「国際協力」。
日本の技術・知識を途上国に移転させ、国際的経済発展を図っていこうという理念の下、1993年ごろに発足されたとされています。
この理念とは裏腹に「奴隷制度」と揶揄されることもある実習制度。
外国人を劣悪な労働環境で低賃金にて働かせる…。
一部報道は事実かと思いますし、そのような危うさを孕んだ制度であるとは思います。
しかし、詳しくは後述する通り、企業側がしっかりと誠意をもって接すれば、外国人実習生を迎える為の費用は諸々含めると同年代の日本人を雇う費用と大きく変わりません。
また、外国人実習生の中には物価が大きく離れている日本への「出稼ぎ」を目的としている者も多く、決して一方的な制度ではないと感じました。
いずれにしても迎える側、迎えられる側双方の制度への理解、そして何より人としての誠意といったものが必要な制度だと思います。
そんな外国人実習生は私たち建設業界において無視できない存在になりつつあります。
ベトナム人実習生だけでも2020年の段階で50万人ほど入国していると聞きます。
しかしカンボジアやミャンマーなど全ての国の技能実習生を足しても日本の人口減少に対する労働力の低下には遠く及ばないのが現状です。
「労働力の需給の調整の手段として行われてはならないこと」となっている本制度ですが、「技術実習」としての「労働」がある以上、労働力としての期待があるのが現実です。
と言いますのも私たちの建設業界、悲しきかな若者に人気が無いというのが正直なところだからです。
私も経営を担うようになり、若い方が納得して定着してもらえるような会社作りに励んでいますが、業務の内容上、超えるべき壁が多々あるのが現実であります。
特に久留米という地方では若者の都心への流出が深刻です。
どの企業さんも苦労しているところではあると思いますが、人材の確保というのは常につきまとう課題であります。
様々な選択肢をとることができる日本の若者が建築業界に中長期的に定着する確率は、感覚的に言うと10人に1人くらいです。
これは経営的な観点で言うと日本人採用への投資は90%の確率で無駄撃ちになりかねないというリスクを孕んだものになるということになります。
一方、外国人実習生は少なくとも3年という短い期間ではありますが、日本人に比べ無駄撃ちになりにくい存在です。
劣悪な労働環境に耐えかねて…というような報道もありますが、それは劣悪な労働環境だからです。
しっかりとした条件で迎えれば一人の人間として、しっかりと応えてくれると実際に迎えてみて感じました。
彼らを迎える為の条件も普段からしっかりとした企業活動を行っていれば、さほどハードルが高くないというのも本制度が候補にあがる一因としてあると思います。
企業活動に当然必要な各許可書を有しており、36協定など社内の体制を確保していれば、通常の採用活動と大きく変わりません。
「外国人実習生」という立場上、定期的な筆記・技術テスト、簡単な日誌などの書類における報告義務、そして生活責任者としてビザ、税金関連などをお世話する必要はありますが、人材確保という観点から見ると相応のコストだと思います。
長くなりそうなのでいったんこの辺で。
次は実際に実習生を迎えてみて、経営的観点から感じたメリット、デメリットについて触れてみたいと思います。